村上春樹の『アンダーグラウンド』


手元にあるのはハードカバー、1997年の第一刷。裏表紙に鉛筆で1100円と書いてあるので古本屋で購入したようです(今となっては記憶にありません)。20年以上前、村上春樹の本を端から全部読破したことがあったのですが、この本はテーマが重くかつ分厚い(!)ので、買ったまま放置していました。今回、引越の荷物整理に伴い、少し時間があったので目を通しました。
読んでみると、サリン事件のことを改めて考えさせられたのと同時に、このインタビュー集が見事な“村上作品”になっていることに驚かされました。単なる“インタビュー集”を超えた(もちろん基本的には莫大な数のインタビュー内容が並んでいるのですが)、村上春樹氏が被害者を通して受け止めたサリン事件であり、これまでに読んだ小説等以上に村上テイストを強く感じました。書かれていることが基本的には全て事実であり、実在する人物が語った体験であるせいでしょうか、今まで読んだ村上作品にない感銘を受けました。ずいぶん遅くなってしまったけれど、読む時間が取れて良かったです。