雪かき仕事

村上春樹が古い小説の中で「(文章を書くのは)雪かきのようなものだ」というようなことを書いていた気がします。読んだのが10年以上前なので正確には思い出せませんが、誰かがやらないと困る、でもその仕事自体に情熱を持つわけではない、というような。。。私の前職での論文書き(あるいは学生さんの論文のブラッシュアップ)はまさにそんな感じ。

昨年末、前職の私大で修士を取った学生さんから送られてきていた論文原稿。本日やっと気合いを入れて見終わり(人の原稿を見るのって結構エネルギーがいるんだもん)、訂正・コメント入りのファイルを彼女に返送しました。学生の間ならともかく、仕事しながら初めての論文原稿を書くのはさぞや大変だったに違いありません。彼女のためには、頑張ってこの論文に日の目を見せてあげたいものです。
前職がらみの論文はずいぶん沢山書いたり直したりしていますが、どうもオリジナリティのなさは否めない。当然投稿先も限られてきます。「最初からここに投稿しちゃうの?」というところにしか投稿できない。論文自体も、何とか形にはするものの、無理矢理まとめているようで虚しくなることもしばしば。
これは当然学生のせいではありません。指導者の責任です。国公立ではあり得ないような巨額の研究費が毎年自動的に降ってくるのに、研究がきちんと進められない環境と人材。本当にもったいなかったと思います。でも論文を出しているだけまだマシとも言えます。論文も出さずにお金を溝に捨てている研究室も沢山ありましたから。。。
4月からはお金のない大学に行きます。でも研究に対するテンションは高そうなので、ちょっと気合い入れ直しです。小さくても意義があると思える仕事をするのが目標です。結局は雪かきなのかもしれませんけどね。